「突然犯罪の容疑がかかり、警察に取り調べに呼ばれてしまった。」
「家族や親戚が逮捕されてしまった。」
通常、刑事事件は「逮捕」という形で突然身に降りかかってきます。刑事事件は、「20歳以上の場合」と「20歳未満の場合」とで大きく流れが異なります。
以下では、2つの手続きについて身体拘束される場合の流れを説明します。どちらもあっという間に手続きが進行していきますので、なるべく早く弁護士に相談されることをお勧めします。
刑事事件の流れ
【20歳以上の場合】
20歳以上の場合、以下のような流れで手続きが進みます。
警察により逮捕され、検察官によって裁判所に勾留を請求されるまで、最大72時間(3日間)、身体を拘束されます。さらに、勾留されると原則として10日間、裁判官が延長を認めれば更に10日間、合計最大23日間の身体拘束を受けることになります。その後、検察官が、今回の事件を起訴するか不起訴にするかを決めます。その他にも、罰金・科料を裁判所が命じて簡易迅速に手続が終了する略式起訴という処分になる場合があります。
この間、弁護士に依頼すると、身に覚えのない事件の場合(無罪をご主張される場合)、検察官や裁判官に対し、不起訴にするよう意見書を提出する等して、身体拘束の早期解放を求める活動をします。また、犯罪をしてしまったことは確かである場合でも、被害者と示談の話し合いをする等の活動を行い、裁判官や検察官に対して、早急に身体拘束を解くよう主張することができます。
また、取調べでは、身体拘束を受けている方の心境として、早く身体拘束から解放されたいあまり、やってないことを認めてしまう場合や、自分がしゃべったこととニュアンスが異なる調書や、自己に不利な内容の調書が作成される場合があります。一度このような証拠が作成されてしまうと裁判で覆すことが難しいので、取調べにおける対応など早急に弁護士からアドバイスを受ける必要があります。
【20歳未満の場合(=少年事件)】
犯罪を行ってしまい逮捕された場合や素行不良で犯罪をするおそれがあるとされる場合、20歳以上の方であれば検察官が起訴・不起訴を決めるのに対して、20歳未満の方(性別に関係なく「少年」と呼ばれます)については、検察官が全ての事件を家庭裁判所に送ります。このような事件は一般に「少年事件」と呼ばれます。事案により取られる手続きはやや異なりますが、基本的な流れは以下のようになります。
逮捕されてから家庭裁判所に送致されるまでの最大23日間の間の手続きは、20歳以上の場合とほぼ同じ流れです。
少年事件が20歳以上の刑事事件と大きく異なるのは、この後の流れです。家庭裁判所に送致された後、通常、観護措置という手続きをとられ、4週間の期間、少年鑑別所に送致されます。この手続きの中で、少年の資質や性格についての調査が行われ、少年をとりまく環境をあらゆる視点から検討し、少年を更生するために必要な処遇が判断されます(最終的な判断を「審判」といいます)。特別な事情がある場合には、観護措置の決定がされず、在宅で調査が行われることもあります。
審判の内容としては、「不処分」、「保護処分」、「検察官送致」の大きく3つに分かれます。
「保護処分」の内、「少年院送致」と「児童福祉施設等送致」の決定が下された場合、少年は各施設に送られますが、「保護観察」となった場合は社会内での更生を図るため、施設に送られず自宅で生活することができます。
弁護士にできること
以上のように、比較的短期間で手続きが進行しますので、容疑をかけられた方やそのご家族の方だけで適切な時期に適切な行動を起こすことは、非常に難しいです。
弁護士に事件を依頼すれば、
〈20歳以上の場合〉
- 逮捕後、面会して適切な助言をする
- 起訴される前に、無罪であることを主張し、早期に身体拘束を解くよう検察官や裁判官に働きかける
- 示談・被害弁償に向けて活動する
- 起訴後の活動として、保釈(一定の金額を納めることを条件として一時的に身体拘束を解くこと)の請求をする
- 裁判の場で、執行猶予や減刑、身に覚えがない事件に関しては無罪を主張する
〈少年事件の場合〉
- 逮捕後、面会して適切な助言をする
- 観護措置を避けるための活動を行う
- 示談・被害弁償、家庭環境や交友関係の調整、就業先の開拓等(環境調整)を行う
- 事件の原因がどこにあるのか一緒に考え、更生の糸口を見つける
- 審判の前に、保護観察が妥当である等少年に最適であろう処遇意見を家庭裁判所に提出する
といった行動を適切なタイミングで行うことが可能です。
このように、逮捕後早い段階で弁護士に依頼することは、大きなメリットがあります。また、少年事件の場合でも、少年自身が依頼することもできますし、保護者も依頼することができます。
万が一、家族が逮捕されたら、1人だけで悩まずに、一度弁護士にご相談ください。