交通事故

(1)交通事故の被害者となってしまった場合

交通事故により損害を被った場合には、加害者に対し、金銭による賠償を請求することができます。請求できる損害は、大きく分けて、人損と物損に分けられます。人損は、治療費、休業損害、逸失利益(交通事故がなければ得られたはずの利益。死亡の場合と、後遺障害の場合に分けられます。)、慰謝料などを指し、物損は、自動車の修理代、廃車費用、代車代などを指します。
損害額の基準には、①自賠責保険、②任意保険会社、③裁判の3つがあり、金額にすると、①<②<③の順序となります。損害額の計算は、諸法令や裁判例などの専門的知識を要しますので、相手方の保険会社の算定に疑問を感じられる方は、一度、弁護士にご相談ください。損害の程度によっては、弁護士が受任することで、保険会社の提示額が大幅にアップするケースがあります。特に、死亡事案や後遺症が残った事案の場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。

(2)交通事故の加害者となってしまった場合

交通事故の加害者が負う法的責任には、①刑事責任(刑罰)、②民事責任(被害者への損害賠償)、③行政責任(運転免許の停止や取消し)の3つがあります。これらは別個の責任ですので、全ての責任を負うこともありますし、例えば刑事責任は問われない場合(不起訴となる場合)もあり得ます。
①の刑事上の責任を問われる場合、加害者は、警察に呼び出されて事情を聞かれたり、逮捕・勾留されたりすることがあります。
当事務所では、民事上の責任についても、刑事上・行政上の責任についても対応が可能ですので、お早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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関連FAQ

交通事故の被害に遭いました。加害者に資力がない場合でも損害賠償金をもらうことができるのでしょうか?
交通事故の場合、加害者に資力がない場合でも、加害者が任意保険や自賠責保険に加入していれば、損害賠償金を支払ってもらうことができます。
自賠責保険とは何ですか?加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険にしか加入していない場合、何を請求することができるのでしょうか?
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、自動車損害賠償保障法により、自動車を持つ全ての人に加入が義務付けられている保険です。もし未加入の場合、懲役や罰金といった刑事処罰の対象となる上、違反点数の加算による行政処分を受けることになるため、原則として全ての運転者がこれに加入しています。
加害者が自賠責保険に加入していれば、一定の損害賠償金を支払ってもらうことが可能です。
ただし、自賠責保険による補償にはいくつか制限があります。まず、自賠責保険によって補償を受けることができるのは、被害者が負ったケガや後遺症、死亡による損害のみであり、車の損傷などの物的損害は含まれていません。次に、自賠責保険による補償可能額には限度額が設定されており、後遺症がないケガならば120万円まで、死亡した場合でも3,000万円までとなっています。しかしながら、被害者が死亡したり、重篤な後遺症が残るような事故のときは、限度額以上の損害が発生することが大半ですので、そのような場合被害者は自賠責保険のみでは満足のいく補償を受けることができません。
そのため、加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険にしか加入していない場合、自賠責保険でまかなうことができない範囲については、加害者に直接請求しなければなりませんが、加害者に資力がないとその範囲については回収が困難となります。
自賠責保険でまかなうことができない範囲をカバーするために、任意保険に加入しておくのが一般的です。
任意保険とは何ですか?加害者が任意保険に加入している場合、誰と交渉をするのでしょうか?
任意保険とは、運転者個々人が保険会社との間で任意で取り交わす保険です。加入する法的義務はありませんが、自賠責保険ではまかなえない範囲の賠償義務をカバーするために加入している運転者が多いです。
加害者が任意保険に加入していて、対人賠償保険・対物賠償保険を利用するのであれば、加害者の保険会社と交渉して損害賠償金を支払ってもらうことが可能です。契約内容次第では支払限度額が設定されていることもありますが、大抵は限度額の制限がないか、あっても請求に支障がない金額になっているため、請求が認められさえすれば回収できない可能性はほぼありません。
加害者が任意保険を利用する場合には、加害者の保険会社と交渉をしていくことになります。その場合は加害者本人と直接交渉をする必要はありません。
加害者が任意保険に加入しており、既に加害者の保険会社から損害賠償金額の提案を受けています。その場合でも,弁護士に交渉を依頼した方がいいのでしょうか?弁護士費用がかかる分、結果的に損をすることにはなりませんか?
相手の保険会社から既に損害賠償額金額の提案を受けている場合でも、弁護士に交渉を依頼した方がよい場合は少なくありません。
なぜかというと、保険会社は通例として、事故に遭われた方に弁護士がついていない場合には、保険会社内部で定めた独自の基準(これを任意保険基準といいます。)に基づいて損害賠償金額を提案してきます。この任意保険基準は、事故に遭われた方が本来裁判によって請求可能な金額(これを裁判基準といいます。)よりも低く設定されているのです。
これに対し、弁護士が交渉の代理人としてついた場合には、裁判基準に近い水準での請求が可能となります。そのため、大抵の場合、保険会社から提示された損害賠償金額よりも最終的な支払金額が上昇するのです。
被害に遭われた方が亡くなっている場合や、事故による後遺障害が生じている場合には、弁護士を依頼することにより支払われる金額が大きく増えるケースが多いため、弁護士に依頼をした方がいいでしょう。また、被害に遭われた方やその家族の方が加入している弁護士特約を利用できる場合には、弁護士費用は自身の保険会社が全部または一部を支払ってくれるため、悩まず弁護士を依頼した方がよいケースが多いです。
もし上記のケースに該当しない場合であっても、後記のとおり、当事務所では交通事故に関する法律相談は初回30分に限り無料で受けることができます。相談の際に資料をお持ちいただければ、弁護士に依頼することでどの程度賠償金額の増加が見込めるかについてもアドバイスすることができますので、悩んだときには一度法律相談を申し込んでいただくことをお勧めします。
つくばね法律事務所に交通事故の法律相談をする場合、料金はかかりますか?
現在、当事務所では、交通事故に関する法律相談の場合、初回30分に関しては無料となっております。
弁護士に依頼した方がいいのかどうか、あるいは本来どの程度の賠償金を支払ってもらえるはずなのかなどの判断がつかないのであれば、まずこの無料相談を利用していただき、その上で改めて依頼するかどうかを検討していただくことをお勧めしています。
つくばね法律事務所に交通事故被害の損害賠償を求める交渉や訴訟を依頼したいのですが、依頼の時点で弁護士費用の負担が生じるのでしょうか?
現在、当事務所では、交通事故被害の損害賠償に関する交渉・訴訟について、着手金(事件を受任する際にお客様にご負担いただく弁護士費用)は0円となっています。そのため、依頼の時点で弁護士費用を負担していただく必要はありません。
弁護士特約とは何ですか?つくばね法律事務所に依頼する場合にも、弁護士特約を利用できますか?
弁護士特約は、自身の加入している保険会社との間で結ぶことができる特約です。被害に遭われた方自身が弁護士特約を結んでいなくても、そのご家族の方が結んでいれば利用することができる場合もあります。
弁護士特約を利用すると、損害賠償請求の交渉や訴訟などを弁護士に依頼したい場合に、弁護士への相談料や、弁護士に依頼するための費用(着手金、報酬、実費、日当など)を自身の保険会社に支払ってもらうことができます。
多くの保険会社では、弁護士特約を用いても等級が下がらず、保険料が値上がりしない規約になっているため、自身に全く落ち度がない交通事故の場合でも特約を利用しやすくなっています。
当事務所でも、相談や依頼の際に弁護士特約を利用したいと言っていただければ、弁護士費用が各保険会社の規定した範囲や上限額(相談料は上限10万円、委任契約は上限300万円まで負担してもらえる内容の商品が多いようです)を超えない限り、弁護士費用を自己負担することなく弁護士に依頼することが可能です。
交通事故により傷害を負ったのですが、具体的にどのような請求をすることができるのでしょうか?
交通事故によって傷害を負ったとき、請求可能な項目としては、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料等が挙げられます。
治療費としては、どのような請求が可能なのでしょうか?また、相手との間で治療費に争いが生じるのはどのようなときですか?
治療費とは、治療やリハビリのため、病院等に実際に支払った費用のことです。金額としては、病院等に支払った実費がその対象となります。
治療費で相手方と争いになることが多いのは、主に以下のような場合があります。
(1) 治療期間・回数の相当性
治療費の支払いを受けるためには、その治療の必要性、相当性が認められることを要します。
事故態様やケガの程度に比して治療期間が長期にわたる場合や、治療回数が多すぎる場合などには、過剰診療、高額診療として、治療の必要性・相当性が否定される可能性があります。
(2) 整骨院での施術
交通事故によりケガをしたとき、整形外科での治療だけでなく、整骨院での施術を受けたいということがよくあります。
整形外科と整骨院は名前こそ似ていますが、整形外科では医師資格を有する者が治療を行うのに対し、整骨院では柔道整復師という別の国家資格を有する者が施術を実施するため、受けられる治療・施術内容は大きく異なります。そのため、整骨院での施術は、整形外科での治療以上にその必要性・相当性が疑問視される事案が少なくありません。
整骨院での施術費が損害として認められるかどうかは、医師による施術の指示や同意があるか、施術の必要性・有用性や施術内容の合理性があるかといった事情によって、大きく左右されることになります。
なお、鍼灸術やあん摩術による施術についても同様に問題になることがあります。
通院交通費としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
通院交通費は、通院のためのガソリン代実費相当額(相場は1㎞あたり15円)や、実際に支払ったバス代、電車代等が対象となります。
ケガの影響で運転ができず、タクシーを利用することを余儀なくされている場合には、タクシー代実費が認められることもありますが、利用回数が多い場合や、他の公共交通機関による移動が可能な場合にはその一部又は全部が否定されることもあります。
休業損害としては、どのような請求が可能なのでしょうか?自営業や主婦であっても休業損害は請求できるのでしょうか?
休業損害とは、交通事故によって仕事を休まなくてはならなくなったとき、その結果得られなかった収入や賃金をいいます。個々人の職業等によって、計算の方法や問題となりやすいポイントが変わってきます。一例を紹介すると以下のようなものがあります。

(1) 会社員の場合
まず、1日あたりの基礎収入を、事故前3ヶ月分の給与明細等から算出します。
その上で会社から、休業した日数、遅刻や早退をした日数を休業損害証明書によって証明してもらい、1日あたりの基礎収入と休業日数を掛けあわせて休業損害を算出します。
なお、治療のために有給休暇を使った場合、その分の給料は会社から支払われますが、その場合でも休業日数に加えることが可能です。
(2) 自営業の場合
まず、1日あたりの基礎収入を、前年度の確定申告書等に記載された売上げや経費から算出します。なおその際、働けないことで支払いを免れた経費分(例えば飲食店における食材の仕入れ費用)は損害として認められませんが、働けなくてもかかる固定経費分(例えば店舗の家賃)は損害として認められる余地があるため、工夫が必要です。
その上で、休業日数は、入通院の程度などによって算出し、休業損害を割り出すことになります。
(3) 主婦の場合
専業主婦の方の場合、主婦業そのものによって直接収入が発生しているわけではありませんが、実務上はケガによって家事労働に従事できなかった期間について休業損害が認められています。
その場合、1日あたりの基礎収入は、女性労働者の平均賃金額を基準に算出することになります。なお、パートタイマーや内職等を行う兼業主婦の場合は、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として算出することになります。
入通院慰謝料としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
入通院慰謝料とは、ケガをしたことによる精神的苦痛に対して支払われる金員のことをいいます。
精神的苦痛がどれほどだったかというのは人によって千差万別ですが、慰謝料の金額は原則として入院した期間、通院した期間がそれぞれどの程度だったかを基準として算定することになります。
後遺障害とは何ですか?どのようにして後遺障害が認定されるのですか?
交通事故で負った傷害に対して治療やリハビリなどをしたものの、これ以上症状の改善が見込めない状態であることを「症状固定」といいます。この症状固定に至った際に、身体に残っている障害のことを後遺症(後遺障害)といいます。
後遺障害の等級は、1級から14級まであり、数字が小さいほど障害の程度が重いということになります。
後遺障害に該当するかどうか、あるいは該当するとして何級になるかを認定するのは、相手方の保険会社ではなく、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という別の機関になります。
症状固定した後、後遺障害の認定を求めたいときには、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、必要書類とともに後遺障害認定申請をすることになります。なお、この申請には、相手方保険会社が申請をする事前認定という方法と、被害者本人が申請をする被害者申請という2種類の方法があります。
後遺障害診断書等をもとに自賠責損害調査事務所が審査を行い、認定を行うことになります。このときの認定内容に不服がある場合には、異議申立てをすることも可能です。
このような後遺障害の認定を受けない限り、相手方保険会社に対して後遺障害に基づく賠償を求めることは難しいため、そうした主張をしたい場合には、いかに後遺障害の認定を得られるかが大きなポイントとなります。
交通事故により後遺障害を負ったのですが、具体的にどのような請求をすることができるのでしょうか?
交通事故によって後遺障害を負ったとき、請求可能な項目としては、傷害を負ったときに請求可能な項目(治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料等)に加えて、後遺症慰謝料や、後遺症逸失利益等が挙げられます。
また、それ以外にも、後遺障害の程度が重い場合には、将来介護費、義手義足等の装具購入費、家屋・自動車等の改造費等が認められる場合もあります。
後遺症慰謝料としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
後遺障害の認定を受けたときは、傷害の入通院慰謝料とは別に、後遺症慰謝料を請求することができます。
後遺症慰謝料の金額は、原則として後遺障害の等級が何級であるかを基準に計算していくこととなります。また、重度の後遺症が認められている場合は、怪我をした本人だけでなくその近親者にも別途固有の慰謝料が認められることもあります。
後遺症逸失利益としては、どのような請求が可能なのでしょうか?また,後遺症逸失利益の金額はどのように算定するのでしょうか?
後遺症が残存すると、労働能力が低下することとなります。このような後遺症による労働能力喪失の結果、本来得られたであろう利益(=逸失利益)を得ることができなくなったとして、逸失利益を請求することができます。
 逸失利益を計算する上での考慮要素としては、⑴どの程度の収入があったか(基礎収入)、⑵労働能力をどの程度喪失したか(労働能力喪失率)、⑶どの程度の期間労働能力喪失の影響が生じるか(労働能力喪失期間)、⑷本来は将来長期間かけて稼いでいくはずの収入を、逸失利益として先行して一挙に取得するというメリットを享受することとの調整(中間利息控除)が挙げられます。
(1) 基礎収入
基礎収入の計算方法は、基本的には休業損害を算出する際の計算方法に近いです。
ただし、事故時点でまだ未就学だった者、たまたま無職だった者などは、将来の就いていたであろう職業の蓋然性等を加味し、平均賃金額を基礎として計算すべきであると考えられます。
また、日本に一時的に滞在中の外国人の方の場合、平均賃金といっても日本の平均賃金なのか、母国での平均賃金なのかで争いとなる場合もあり、日本に在留して就労した蓋然性がどの程度認められるかによって判断が分かれることとなります。
(2) 労働能力喪失率
労働能力喪失率は、原則として後遺障害の等級に応じて設定された労働能力喪失率表が用いられます。
ただし、性質上必ずしも労働能力に影響を及ぼさない後遺症の場合(例えば醜状障害、嗅覚・味覚障害など)、低い後遺障害等級の場合(14級など)、現実に減収が生じていない場合(例えば、普段からデスクワーク中心で、両下肢機能全廃(1級)でも事故前と同様に職務遂行できる場合など)において、労働能力喪失率表どおりの喪失率が認められるかが争点となることがあります。
その一方で、例えばプロ野球選手の利き腕に残った後遺症などの場合、労働能力喪失表の喪失率にかかわらず選手生命が絶たれることもありうるため、そうした個々のケース毎の事情に基づく主張を行っていく必要があります。
(3) 労働能力喪失期間
原則として67歳までの期間がこれに該当します。
ただし、67歳間近の方や、67歳を超えている方の場合には、平均余命の2分の1の期間を考慮することになります。
また、むち打ち症で12級や14級と認定された場合には、症状の軽減ないし訓化(ある刺激がくり返し提示されることでその刺激に対する反応が徐々に見られなくなっていく現象)による労働能力回復が見込まれるとして、労働能力喪失期間を10年や5年に制限すべきだとの主張がなされることが多いです。
(4) 中間利息控除
先行して一挙に取得した逸失利益を運用すれば一定の利益が見込めることを考慮し、この運用利益相当額を控除して計算する必要があります。
具体的には、特定の係数(ライプニッツ係数)をもとに計算していくことになります。
交通事故により身内が死亡したのですが、具体的にどのような請求をすることができるのでしょうか?
被害に遭われた方が亡くなられたとき、請求可能な項目としては、死亡慰謝料、死亡逸失利益、葬儀費用等が挙げられます。
また、死亡までの間に加療を行ったときは、傷害を負ったときに請求可能な項目(治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料等)も請求可能です。
死亡慰謝料としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
事故により死亡したときは、死亡慰謝料を請求することができます。具体的な金額は、一家の支柱、母親又は配偶者など家庭内での役割など、ケース毎の具体的な事情に応じて増減することとなります。
また、死亡した方の父母、配偶者及び子には固有の慰謝料請求権が認められると民法711条に規定されていることからも分かるとおり、近親者にも固有の慰謝料が認められます。同条に規定された者に限らず、これらの者と実質的に同視しうべき身分関係が存在しており、かつ被害者の死亡によって甚大な精神的苦痛を受けた者については、同条の類推適用によって固有の慰謝料請求権が認められる余地があります。
死亡逸失利益としては、どのような請求が可能なのでしょうか?また、死亡逸失利益の金額はどのように算定するのでしょうか?
被害者が死亡した場合、生きていれば得られたであろう利益(=逸失利益)を得ることができなくなったとして、逸失利益を請求することができます。
(1) 稼働逸失利益
稼働できなくなったことに対する逸失利益の計算方法は、基本的に後遺症逸失利益と同様の計算方法であり、基礎収入、労働能力喪失期間、中間利息控除を考慮して割り出します(労働能力喪失率は当然100%になります)。
(2) 年金逸失利益
また、国民年金や老齢厚生年金、退職年金給付等の年金収入を現に得ているか、既に受給資格を有している場合には、そうした年金収入を得られなくなったことに対する逸失利益を請求することもできます。その場合、逸失利益算定期間は平均余命までとなります。
(3) 生活費控除
後遺症逸失利益にはない特有の要素として、生活費控除を行う必要があります。
すなわち、本来生きていれば必要になったはずの生活費について、死亡したことで結果的に支出する必要がなくなるため、その分を差し引く必要があるのです。
具体的には、死亡した方が一家の支柱だったかどうか、被扶養者がいたかどうか、男性だったか女性だったかといった要素をもとに、生活費控除率を決定することになります。
なお、年金逸失利益の場合には、収入の大部分が生活費として支出される者であるとして、通常よりも高い控除率とされることが多いです。
交通事故により乗っていた車に被害が生じたのですが、具体的にどのような請求をすることができるのでしょうか?
交通事故によって車が破損したとき、請求可能な項目としては、被害の程度によってその可否は分かれますが、修理費用、代車使用料、評価損、休車損害等が挙げられます。
修理費用としては、どのような請求が可能なのでしょうか?また、加害者の保険会社から全損だから修理費用は出せないといわれたのですが、どういうことでしょうか?
修理費用の内容は、車を修理することが可能か不可能かによって以下のとおり大きく2つに大別されます。
(1) 修理が可能とされる場合
車両の修理を行うことが相当である場合には、①性能(構造・機能)の回復、②安全性の確保、③耐久性の確保、④美観の回復という観点から、必要かつ相当な修理を行うための費用(適正修理費相当額)を修理費用として請求することができます。
何が必要かつ相当な修理であるかは、保険会社(具体的にはその委託を受けたアジャスター)と修理委託先との間で、あらかじめ協議して合意をしておくことが多いです(この合意を「協定」といいます)。協定ができているときは、実際に修理を行う前であっても修理費相当額の支払いを受けて和解が成立することもあります。
特に問題となりやすいケースとして、事故に起因しない損傷を便乗して修理したことが疑われるケースや、修理技法の相当性に疑義があり、修理が過剰であるとして争われるケースなどが挙げられます。
(2) 修理が不能とされる場合(物理的全損と経済的全損)
上記とは逆に、車両の修理を行うことが相当でない場合として、①物理的に修理が不可能な場合(物理的全損)と、②修理の実施自体は可能でも、修理費相当額が事故前の事故車両の時価等を上回っている場合(経済的全損)が挙げられます。これらの場合、加害者は事故前の車両の時価相当額と売却代金(要するに未修理状態でのスクラップないし下取代金)との差額の限度で賠償をすれば足りることとなります。
車両の時価額の調査方法はいくつかありますが、代表的なのは有限会社オートガイドが発行している「オートガイド自動車価格月報」(通称レッドブック)の小売価格を調査する方法があります。
なお、物理的全損ないし経済的全損の場合には、車両の買替えに必要な諸費用も損害として認められます。具体的には、登録、車庫証明、廃車の法定手数料や、自動車取得税、リサイクル関連費用、車検整備費用等が認められた裁判例があります。
代車使用料としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
代車使用料は、原則として現実に代車を使用しており、代車使用料が現実に発生している場合に認められます。
代車使用料が認められる期間としては、修理可能な場合には修理に必要な相当期間、買替えが必要な場合には買替えに必要な相当期間で認められます。どの程度を必要な相当期間とみるべきかはケースバイケースですが、加害者側の具体的な説明内容や被害者との交渉経過といった個別的事案ごとの特殊事情に応じてその期間の長さが前後し得ます。
評価損としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
評価損とは、事故前の車両価格と修理後の車両価格の差額のことです。具体的には、①修理を行っても主として技術上の限界から事故車両の機能や外観に回復できない損害が残る場合の損害(技術上の評価損)、②機能や外観は回復したが、事故歴があるという理由によって事故車両の交換価値が下落する場合の損害(取引上の評価損)の2種類が存在し、主に争いとなるのは②取引上の評価損です。
取引上の評価損が認められるかはケースバイケースですが、考慮要素としては、①初年度登録からの期間(短いほどプラス要素)、②走行距離(短いほどプラス要素)、③損傷部位や程度(重要部分かつ損傷が重大なほどプラス要素)、④事故車両の人気(人気が高いほどプラス要素)、⑤購入時の価格(高額なほどプラス要素)等が挙げられます。
休車損害としては、どのような請求が可能なのでしょうか?
休車損害とは、貨物自動車やタクシーなどの営業用車両が事故により損傷し、修理または買替完了までの間、事業に使用できなかったことにより喪失した本来得られたはずの利益のことです。
原則として、被害車両の平均売上から支出を免れた経費を控除した金額に休車日数を掛け合わせて計算します。ただし、休車期間中に遊休車(事業未従事の車両)が存在しており、被害車両の使用者がこれを利用して営業利益をあげることが容易に可能であった場合には休車損害の発生は否定されることになります。
過失相殺とは何ですか?明らかに加害者の非によって交通事故が引き起こされている場合でも、過失相殺が行われてしまうことがあるのでしょうか?
過失相殺とは、加害者と被害者の間で損害を公平に分担すべきであるという考えのもと、被害者側にも落ち度がある場合にその責任割合相当分を損害額から差し引いて賠償を行うという取扱いのことです。
自動車事故の場合、加害者と被害者双方が動いている中で事故が発生したというケースが大半を占めています。そのような場合、明らかに加害者に非があるのだとしても、被害者側も少なからず動いているために、一部の例外(後ろから追突された場合、加害者がセンターラインをはみ出してきた場合等)を除き、残念ながら被害者側の落ち度が全くないと主張することが難しいケースは少なくありません。
もっとも、そのようなケースであっても、ドライブレコーダー等の証拠があれば、被害者側の落ち度が全くないと証明できる場合もありますので、そうした証拠の有無によって交渉の方針を決定していくことになります。
自分と加害者との過失の割合はどのようにして判断されるのでしょうか?
過失割合を判断する資料としては、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版] 別冊判例タイムズ38号」(通称緑の本)を用いることが一般的です。この本には、各種の事故類型ごとに、道路交通法に定められている優先関係、遵守事項や運転慣行、事故の状況等を考慮して算定した基本過失割合と、個々の事案ごとの個別事情に応じた修正要素が記載されています。そのため、これらの基本割合と修正要素に応じて過失割合を決定していくことになります。